「行動療法」とは?
患者さんが,自分の状態を知り,具体的な指標をもとに自ら主体的に行動できるようにする治療法です.例えば,「次回までに1kg痩せて来なさい」というのではなく,「100g痩せるのに何歩余計に歩けばよいか?まずは2000歩から試してみて」と問いかけします.その際100gをグラフ化して実感できるようにします.これは,「グラフ化体重日記」です.そのほか,良く噛むための具体的手法が「咀嚼法」と「箸置き法」です.
また自分がどれだけ,いつ食べているか実感するために,「食事記録」をつけたり,「食生活タイムスケジュール」を書いたり,「食生活年表」を作ったりします.これらは,生活習慣病問診票のなかに含まれています.
自分のくせとずれに気づくために「食行動質問票」があります.血糖値に関しては,血糖自己測定(SMBG)を積極的に導入し,自分の食生活と血糖値のと関連を考えてもらいます.
「咀嚼(そしゃく)法」と「箸置き法」
美味しさを感じるよう食べ方の基本は,食べる順番や制限ではなく,一口の量を少なくすることです.味わうためには,食べ物に意識を集中し,一口の量を少量だけにして,良く噛んで口の中で「さらさら」になるまで消化する必要が有ります.一口が大き過ぎると,噛んでいるつもりでも大方飲み込んでしまい,噛めないどころか味わえません.一食分で満腹感が得られるように「咀嚼(そしゃく)法」(一口ごとに味見をするように小指の頭ほどだけ口に入れて,30回噛めば無くなる量を噛んで味わって食べること)の練習をしましょう.食べ物を大切に食べることを学びます.
食べ物に集中し,せっかちな食べ方を治すために「箸置き法」があります.一口ごとに「ご飯」と「おかず」のいずれかを口の中に入れ,箸を置き,それぞれの味を味わいましょう.慣れるまでは,咀嚼法シートを使い,一口食べるごとに正の字の一画ずつを用紙に記入して行きます.お米や,パン,あるいはおかずの食材そのものの味がわかるようになります.